【インタビュー】島田駅前パークイルミネーション2024 のディレクター・菱谷真美子さん
島田に関わるきっかけから教えてください。
「私は洋服屋として島田で起業をしました。もうだいぶ長く島田に縁があります。その事業をやめてしばらくは何かをする予定もなかったんです。そんな折、すごく面白そうだから一緒に話聞こうよって誘われたのが『リノベーションまちづくりシンポジウム』。
話を聞いて、面白いって思って。なんかやってみよう、すぐにやり始めたので2016年くらいです。
実はその前にもクロスメディアしまだの児玉さんに誘われて、まちづくりのワークショップに参加することもありました。当時は洋服屋をやっていたから「なんで私を誘うんだろう」と思ったんですけど、エミさんのお願いだからとりあえず行ってみて。やっぱり面白かったんです。『ここに100万円あります。この100万円を使って島田市に1万に人を集めてください』みたいなお題が出て、その企画をみんなで作りました。
面白いなって。まちづくりっていう言葉や取り組みが。
私はやっぱりまちを元気にしたくてお店をやっていたところもありました。ただその営みが『まちをつくっている』ということだったいう認識はそれまではなかったかもしれません。」
ソライロビルの二階が空いていたから、まずはそこでマルシェをやる。
「私は思い立ったらすぐに行動してしまうタイプなので、二階なのに、外から見えない場所なのに、マルシェを開催しました。
その時すごい人が来てくれて。『えー!なんやこれ!』って。
ちゃんとしたコンテンツを持ってきて、丁寧に告知すればこんなに人来るんだっていうのを目の当たりにして、これはやっぱり面白いぞって思いました。
『仕掛け』っていうことが体現できたのかもしれません。」
公園という価値
「南池袋公園のリノベーションまちづくりでは、みんなが遊べる芝生の公園にしカフェも作られ、みんながゴロゴロできる場所を作ったようなんですが、それがとても素晴らしくて。
島田駅前にもサンカク公園という公園があります。当時は汚くて不潔で手入れもできてなくて。なんとかしたいねって話し合うきっかけは、googleマップで見たら『島田の駅前には、でっかい駐車場と草ボーボーの公園がある』って書いてあって、これまずいでしょ。それじゃあここをちょっと綺麗にしましょうみたいな。島田市と掛け合ってまずお掃除から。その後イベントやりたいって話をしたら、やっぱり門前払い。公園は公共の場であり、みんなのものだから。それが難しいことはわかっていました。
島田市長は女性も市政に関心を持つ機会を増やす取り組みとして、<女性議会>というものをやっています。女性が誰でも模擬議員になって提案ができるという素敵な取り組みでした。
そこで話してみたら市長が『いいじゃない!応援します』って言ってくれて。島田駅前サンカク公園はイベントができるようになったんです。」
パークイルミネーションで、今は結実。
その先の展望。
「パークイルミネーションはサンカク公園でイベントをした際にしっかり集客が出来たという実績があったので、自分たちなら新しい見せ方ができるかもしれない、とチームを組んでやってみたっていうのがスタートです。最初のソライロビルマルシェから、サンカク公園、イルミネーションは別物ですが、積み上げてきた感覚は確かです。イルミネーションのタイミングで積み上げてきたものが一堂に介するので楽しくてやっています。
私はマルシェからスタートしたこの活動でとにかく色々やってみました。すごく楽しんでもらえて、もちろん自分も楽しい。みんないっぱい来てくれる。ただ次の日は『しーん。。。』なんです。
イベントを開催することはもちろん、『常設』っていう意味を考えています。
まちには溜まりが必要で、ここにはまだ溜まりが少ない。
今はサンカクキッチンで魅力的な出店者さんに臨時的にではあるものの溜まりを作ってもらっていますが、島田に「常に在る」という存在をどうやってつくっていけるかを考えています。
もちろん若い人が関わってくれることが重要です。これからどうやって面白い人たちを巻き込んでいけるか、難しくもあり、楽しくもありますね。」
リノベーションまちづくりの概念は、当時静岡県内でも、浜松・沼津・島田と影響を与えていたことに気付かされます。世界が、日本が、静岡県が、という捉え方よりも、住んでいる地域がという考え方は問題がとても具体的なので解決の糸口が見えやすいのかもしれません。
静岡空港から川根温泉まで、南北に魅力が繋がってしまった島田市のこれからが楽しみでなりません。
同時に明日のことではない未来のこと。「抽象的な議論」ができる場所を渇望している裏返しなのかもしれません。